令和6年2月23日に第3回レセプト管理士認定試験を受験してきました。
レセプト管理士ってどんな資格?
どんな試験なの?
試験対策ってどうやったの?
そんな疑問をお持ちの方向けに、今回は自分の体験を交えてお話をさせていただきます。
どうしてレセプト管理士に興味を持ったの?と質問されそうなので、先にお答えしますが、特段理由はないです。。
へー、こんな資格があるんだー。あ、最近できたのか、、、やってみようかなくらいの軽いノリで受験を決めました。
資格は医事課の実務には不要と考えている管理人ですが、自分もそれなりに経験年数を重ねてきているので、試しにやってみようという感じです。
申込をした後に気づきましたが、けっこう費用がかかりそうなんですよね。。
これから受験する方は費用面も検討してからの方が良いです。
目次
レセプト管理士とは
あまり馴染みのない資格名称ですが、日本レセプト学会は「レセプト管理士」について下記のように定義しています。
新しい職業資格であり、診療報酬をはじめとする各種制度等を予測し、経営判断できる重要な情報を熟知、活用、提案できる力をもった専門職
「レセプトのプロとして、病院経営に絡んでいけるスキルを持っている人」ということなんでしょうね。
実際、私が受験した試験でも診療報酬に関わる問題が多く出題されていました(特に読解実技)。
病院の収入のほとんどは診療報酬によるものですが、診療報酬は2年に1度見直しが行われます。
その見直しに対応していけるような、病院経営に寄与できる人材を育成していこう!ということで資格が創設されたようです。
レセプト管理士会のHPでは、「レセプト管理士の必要性」について触れているので、興味のある方はこちらもご覧ください。
試験内容は
試験は学科と読解実技の2部で構成されており、試験時間はそれぞれ45分のため、1日で終わります。
学科試験の内容
学科の中でも【共通学科問題】と【選択学科問題】に分かれており、テキストの範囲から出題されます。
私が受験した時はいずれも選択式で回答するやり方(マークシートで塗りつぶして回答するのかと思いきや、解答用紙に印字された番号を〇で囲む方法)でした。
共通学科問題では23問程度、各分野から3問程度出題され、うち選択学科では3問程度でした。
テキストの持ち込みは不可のため、事前の勉強が必須です。
レセプト管理士の資格名称に「レセプト」がついてるから、レセプトを作成するのかなと思いきや、その類の設問は一切ありませんでした。
なお、統計分野も出題範囲に含まれているため、電卓の持ち込みはOKです。
※スマホの電卓機能は使用不可
私は電卓を持ち込んだものの、学科で使うことはありませんでしたが。。。
共通学科問題
下記の出題範囲から各分野3問ずつ出題されます。
- レセプト管理分野
- レセプトコンプライアンス分野
- レセプト情報の活用分野
- 医療サービスマネジメント分野
- 国際化・日本と海外の制度分野
- 統計分野
※レセプト管理士会HPより抜粋
各分野のポイントの理解について問われる設問が多い印象でした。
選択学科問題
医科と介護のいずれかを選択して回答します。
共通学科と選択学科は別の回答用紙となっています(全部で回答用紙は2枚)。
私は医科を選択しましたが、介護分野が得意という方はそちらを選択できます。
- マネジメントにおける病院事例と医療マーケティング・レセプトマネジメント
- 介護レセプト、介護保険・福祉制度、LIFE、海外介護人材の現状
※レセプト管理士会HPより抜粋
読解実技試験
実技ではしろぼんねっとを活用しながら、記述式で回答していきます。
しろぼんねっとの概要を説明すると、ネットで見られる点数表です。点数表の告示や通知だけでなく、厚労省が公表している診療報酬の改定資料や施設基準の情報が掲載されています。
そのため、スマホやPCなどの持ち込みがOKとなっています(というか、必須です)。
読解実技においては、手書きかPC等の入力のいずれかの回答方法を選択できます。
私はPCでの入力方式を選択しました。
受験者にはUSBメモリが配布され、中に格納されているWordの回答用紙に入力していきます。
試験終了後は回答内容を保存した後、回収されます。
実技には特に参考書等テキスト等はありませんが、しろぼんねっとを使いこなすことが前提となりますので、使い方やメニューの内容・位置などは把握しておく必要があります。
YouTubeでは、レセプト管理士会が読解実技の解き方について解説している動画があります。試験のイメージをつかむために、一度見ておくとよいです。
試験の難易度は
医事課でレセプト業務に携わって10年以上の経験がある私にとっては、そこまで難しい試験には感じませんでした。
が、読解実技は時間が足らなかったです。。。
というのも、自分がしろぼんねっとを使いこなせていなかったせいか、探したい情報がどこにあるか全く見つからず、もったいない時間を使ってしまいました。。
病院に入職して間もない新人さんや他業種の方など、レセプトに馴染みのない方にとっては、学科試験も難しく感じるのではないかと思います。
試験の合格基準としては、試験案内のページにて下記のように示されています。
学科、読解実技の合計で6割以上であること。
(但し、第3回認定試験以降の目安とする)
学科の方がやりやすいと思うので、テキストを読み込んで学科で点数を稼ぐことをおススメします。
合格率は
合格率は公表されていないようです(令和6年2月23日時点)。
第1回試験が令和4年に実施されたようなので、公表されるのはもう少し試験を実施してからなのかもしれません。
合格発表は
受験後、概ね1か月くらいを目途にメールで案内されるようです。
受験概要ページにも記載はありますし、試験官の方はそのように案内してました。
過去問は
この記事の執筆時点では公表されていません。
なので、勉強する時はとにかくテキストを読み込むくらいしかないですね。。
公表されていない理由は下記のようものがあるのかな、と思います。
- 問題冊子は当日回収されてしまう
- そもそも受験者が少ない
- 試験が始まって間もない(管理人が受験した時点で第3回)
今後は問題集などが販売されるかもしれませんので、これから受験する方はぜひ調べてみてください。
勉強方法は
私が受験にあたって取り組んだことです。
学科
テキストを読む、のみ。
ノートにまとめる、など真面目に試験勉強しようと計画しましたが、無理でした。。。診療報酬改定の対策として本業が忙しくなってしまい、まったく勉強時間がとれませんでした。
具体的なところをお伝えすると下記のとおりです。
- テキストを読み始める(受験日の1か月くらい前)
- 1周したら、分かりにくかった章を中心に読み直しする
- 全体的にもう一度通読する(試験の前日にさらっと)
くらいしか対策としてはできなかったです。
テキストを読み始めたといっても、仕事の前後に少し時間をとって読むことが中心でした。
平日は朝起きてから始業前に10P読んで、帰宅してからもう10P読むとか、土日は1章分読もうかな、とかその程度です。
短い時間でもいいから勉強癖をつけるというか、毎日テキストに触れる習慣をつけることを意識していました。
前述の通り、ノートに書いてまとめたりとかはやってないです。
読解実技
こちらは対策のしようがないかな、と思って何もしてないです。
あえて挙げるとすれば、
試験案内ページにある出題例をみて、実際にしろぼんねっとを使ってみる
ですね。
どこに何の情報があるのか、を意識して使い方をマスターしようとする感じですね。
10~15分くらいいじったらなんとなくの勝手が分かったからいいやーくらいの感じで、それ以降は特にさわってないです。
あ、あと試験前日に、しろぼんねっとのページをブックマークをしました。
テキスト
テキストは『レセプト管理論(同友館)』が指定されています。
200ページくらいなので一読するくらいであれば、そこまで時間はかからないと思います。
一部誤植と思われる箇所があったり、同じ章内で、です・ます調とだ・である調の文末表現が出てきたりと、ちょっと読みにくいところがあります。
ちなみに、介護分野においては一部追加資料としてダウンロードテキストが公開されていました。
※「レセプト管理士試験 試験出題範囲・出題例」の下部
また、統計分野においては推薦図書として『統計検定3級対応 データの分析』があるようです。
実際に試験を受けてみて
所感や思い出せる設問について書いてみます。
学科
テキストからまんべんなく出題されたな、という感じです。
レセプトの定義、レセプトのフォーマットの相違、レセプトマネジメント、
患者満足度と患者のロイヤルティ、医療サービス・プロフィット・チェーンなどなど。
きちんとポイントを押さえて理解しているかを問われているような設問だった印象です。
それから、「外国人患者対応の実際」として、英会話フレーズも出題されました。
Q.「健康保険証をお持ちですか?」の英訳として適切なものを選択せよ、みたいな(正解は、テキストに記載された選択肢「Do you have your health insurance card?」)。
他にも、こんな設問もあったかな。。
- 医療医務:medical office work
- 眼科:obstetrics
- 手術:surgery
- 入院:hospitalization
- 薬局:pharmacy
正解は②。眼科はOphthalmologyが正しい。obstetricsは産科。
それから海外の医療制度についての設問もありましたね。
韓国、ベトナム、アメリカ、ドイツ、フランスそれぞれの記述の中で誤りを1つ選べ、みたいな内容でした。
読解実技
ただでさえ読みにくい告示や通知部分を簡易的にまとめて説明記述しないといけないので、分かるところから優先的に取り組む必要がありました。
覚えている範囲でいくつかの設問を以下に書き出してみます。
Q.「令和4年度改定で紹介状なしで受診する場合等の定額負担の見直しが行われたがその概要について説明しなさい(誰が得をし、誰が損をするか等)。保険者の負担、医療機関の収益の増減、患者の負担などの視点について触れるkと。」
Q.「令和4年度改定で地域医療体制確保加算の施設基準において、救急用の自動車又は救急医療用ヘリコプターによる搬送件数が、年間で1,000件以上でも届出が可能となったが、併せて満たす必要がある基準はどのようなものか」
Q.「令和4年度改定で外来データ提出の新設がされたが、新設された項目を2つ答えよ。また、新設された背景、意図について簡潔に述べよ。」
調べればすぐわかることもありますが、実技はけっこう頭をつかう感じです。
資格取得のメリットは
認定後のメリットは合否通知がきていないので説明できませんが、合格できた場合は資格とれた!実力が認められた!と自分の自信につながるところは大きそうです。
こんな私でも、医療事務の領域ではまだまだ知らないことがたくさんあります(定期的な診療報酬改定であれこれ見直しされることが要因の1つですが)。
医事課歴10年やってもまだ知らないことがあるのか、、、と時々弱気になることがあるので、自分に自信を持てることは仕事へのモチベーションにもなります。
合格できるといいな、と願いながら結果を待ちたいと思います。
無事に合格することができ、努力が報われました!
ちなみにですが、合格した後はレセプト管理士会から情報提供や定期的な研修が用意されるようです。
資料の共有や簡易的な講義セミナーを配信してくれると、資料作成や会議のネタになったりするので、助かるなーと期待してます。
まとめ
診療報酬やレセプト、医事課業務に対する考え方の整理はできたので、総じて受験して良かったかなと思います。
テキストを読んでいる中でも今度試してみようかなと思えるものがいくつかあったので、参考になる箇所はありましたし。(ちょうど受験時期と診療報酬改定の対応時期が重なってしまい、ほとんど試験勉強の時間はとれなかったのはツラかったですが)
この資格取得は、ある程度経験がある方向けかなーと思いますが、将来は医事課のエースになって活躍するぞ!とやる気に満ちている方にはおススメです。
自分の実力を試してみたい、という衝動に駆られて、つい申込しちゃいました。