
受付業務をしていると、
患者さんやご家族から、こんなふうに言われることがあります。
「前はやってくれましたよね?」
「ここに聞けば分かると思って」
強く責められているわけではない。
それでも、その一言で頭の中が一瞬止まってしまう。
断っていいのか分からない。
今回も対応すべきなのか迷う。
とりあえず受け止めたものの、あとからモヤモヤが残る。
そんな経験をしたことがある受付の方は、決して少なくないと思います。
目次
患者さんは「受付の仕事」を知らない
まず前提として、患者さんやご家族は、
病院の中の役割分担を詳しく知っているわけではありません。
患者さんから見えているのは、
- 病院の入り口にいる人
- 最初に話を聞いてくれる人
- 困ったときに声をかけやすい人
それが受付です。
そのため、
「前にやってもらえた」
「受付に聞けば何とかなると思った」
という認識が生まれやすくなります。
これは、受付の説明不足でも対応ミスでもありません。
患者さんの立場から見ると、受付が“最初の相談先”として見えやすいだけです。
困る本当の理由は「頼まれること」ではない
受付がつらくなるのは、
仕事を頼まれるからでも、手間が増えるからでもありません。
一番しんどいのは、
「その場で判断を求められること」です。
- これは受付が決めていいのか
- 本来は別の部署の判断ではないか
- 断ったらクレームになるのではないか
こうしたことを、
患者対応をしている間の一瞬で、ひとりで考えなければならない。
ここに、受付業務のつらさがあります。
「前はやってくれた」には、実は3つのケースがある
患者さんから「前はやってくれましたよね?」と言われたとき、
その背景は、大きく3つに分けられます。
ケース① その場の判断で、受付が対応したことがある
忙しさが落ち着いていたときや、
「これくらいなら」と判断して、受付で対応したケースです。
受付としては、
その場を円滑にするための対応だったかもしれません。
ただ患者さんの記憶には、
「受付がやってくれた」という印象だけが残ります。
ケース② 別の部署が特別対応していた
実際には、受付ではなく、
- 医師
- 看護師
- 別の部署の職員
が、例外的に説明・対応していたケースです。
患者さんにとっては、
「病院として対応してもらえた」という記憶が残ります。
その結果、
次に来院したとき、同じ対応を求められることがあります。
ケース③ 受付は窓口だったが、判断したのは別の人だった
受付は話を聞き、
担当部署や職員につないだだけ。
実際の判断や説明は、
別の人が行っていたケースです。
それでも患者さんの中では、
「受付を通して対応してもらった」という印象が残ります。
受付がつらくなりやすい理由は、個人の問題ではない

ここまでのケースに共通しているのは、
- 患者さんは「病院として対応してもらった」と認識している
- 受付がどこまで関わったかは、患者さんには分かりにくい
という点です。
さらに現場では、
- 例外対応の経緯が共有されていない
- 前回の判断を誰がしたのか分からない
といった状況も少なくありません。
その結果、
事情を知らない受付が、説明や不満の受け皿になりやすくなります。
これは、受付の対応が悪いから起きることではありません。
業務の流れや情報共有の仕組みの中で、
受付がその立場に置かれやすいというだけです。
それでも受付ができる、現実的な考え方
こうした場面を、
受付ひとりの工夫だけで防ぐことはできません。
ただ、負担を減らすための考え方はあります。
① 原則的な案内を、先に伝える
まずは、
- 通常はどのような案内になっているか
を落ち着いて患者さんに伝えます。
これは断るためではなく、
判断の前提を共有するためです。
② 前回の対応について、事実を確認する
次に、
- 前回は誰が対応したのか
- どの部署で案内されたのか
を確認します。
そして「一度確認しますので、お待ちください」とクッションを置くことで、
その場での対立・クレームを避けやすくなります。
③ 判断が必要な場合は、判断できる人につなぐ
前回の対応者が分かる場合も、
分からない場合も、
受付がひとりで結論を出す必要はありません。
判断できる立場の人に確認し、
その結果をもとに説明することが大切です。
受付は「最前線」だが「最終判断者」ではない
受付は、患者さんと最初に向き合う立場です。
だからこそ、矢面に立つことも多くなります。
しかし、
最前線に立っていることと、
最終判断をすることは別です。
受付の役割は、
判断を抱え込むことではなく、
判断が必要な内容を整理し、つなぐことです。
まとめ|受付で迷うのは、責任感があるからこそ

「前はやってくれましたよね?」と言われて迷ってしまうのは、
受付としての判断力が足りないからではありません。
それだけ、
患者さんの気持ちや現場の流れを考えながら、
慎重に対応しようとしているということです。
この記事では、
- なぜ受付が判断を求められやすいのか
- 「前はやってくれた」と言われる背景に何があるのか
- 受付がひとりで抱え込まなくていい考え方
を整理してきました。
考え方の軸を知っているだけでも、
同じ場面に出会ったときの感じ方は、きっと変わるはずです。
ただ、実際の現場では、
- 「これは受付で判断していいのか分からない」
- 「前回の対応を知らないまま話を振られてしまった」
- 「確認したいけれど、誰に聞けばいいのか迷う」
といった “知らないことが原因で立ち止まる場面” も多いと思います。
受付業務の「知らない」に、どう向き合えばいいか
もし、ここまで読んで
「同じような場面で、また迷いそうだな」と感じた方は、
少し先の整理も見てみてください。
受付で判断に迷う場面の多くは、
経験や能力ではなく、
「知らない状態で判断を求められること」から生まれます。
そうした場面に備えて、
受付業務で起こりやすい「判断に迷うケース」を整理し、
考え方の軸をまとめた資料があります。
この記事でお伝えした考え方を、
実際の場面に当てはめて確認できる形にしたものです。
- どこまで受付で判断しなくていいのか
- どの時点で確認すべきか
- 「知らない」状態でも、どう考えればいいか
必要だと感じた方だけ、
一度内容を確認してみてください。










