令和6年能登半島地震によって被災された方が病院に受診する際もあるかと思います。
被害にあった程度は人それぞれかと思いますが、被災者の方が来院した際は、下記のような状況が考えられます。
- 保険証の提示ができない
- 窓口での負担金が支払えない
上記のような患者に対しても医療の機会を平等に提供できるよう、特別な取扱いをする事務連絡が通知されています。
避難をされて県外での受診する場合もあると思うので、本記事で対応についてまとめます。
※本記事は令和6年1月25日時点の情報です。
※令和6年2月2日更新
- 条件を満たす患者については、令和6年4月末までの診療、調剤及び訪問看護に関わる窓口負担の支払いを猶予することが可能
- 一部負担金等の支払いを猶予した場合は、患者負担分を含めて 10 割を審査支払機関等へ請求する
事務連絡の通知内容の概要
対象の事務連絡通知(令和6年能登半島地震に伴う災害の被災者に係る保険医療機関等における一部負担金等の取扱いについて(その7))の概要についてまとめると、下記の内容です。
- 令和6年能登半島地震に伴う災害の被災に関し、一部負担金、保険外併用療養費、訪問看護療養費、家族療養費又は家族訪問看護療養費に係る自己負担額(以下「一部負担金等」という。)の支払いが困難な患者の取扱いについて周知している
- 特定の条件を満たした患者については、窓口での医療費負担分を支払わなくても受診ができる
- 令和6年4月診療分までが対象(令和6年1月25日時点)
対象となる患者は?
今回の通知内容が適用となるのは、下記の条件1と2のいずれにも該当することが条件となっています。
条件1: 以下に掲げる被保険者(本人)又は被扶養者(家族)であること。
- 別紙1に掲げる市町村国保の被保険者
- 別紙1に掲げる後期高齢者医療広域連合の被保険者であって、令和6年能登半島地震に伴う災害に係る災害救助法の適用市町村に住所を有する者
- 別紙2に掲げる健康保険組合または国民健康保険組合もしくは全国健康保険協会の被保険者又は被扶養者であって、令和6年能登半島地震に伴う災害に係る災害救助法の適用市町村に住所を有する者(被災以降、適用市町村から他の市町村に転入した者を含む。)
別紙1の市町村国保は44の市町村が該当します(令和6年1月25日時点)。
また、別紙1の後期高齢者医療広域連合会は4つの連合会が該当します(令和6年1月25日時点)。
そして、別紙2に該当する保険者は600を超え、一部の保険者は一部負担金等の猶予及び免除を行う場合があるようです。
別紙1、別紙2については事務連絡通知のP7以降を参照ください。
条件2: 令和6年能登半島地震により、次のいずれかの申し立てをした者であること。
- 住家の全半壊、全半焼、床上浸水又はこれに準ずる被災をした旨
- 主たる生計維持者が死亡し又は重篤な傷病を負った旨
- 主たる生計維持者の行方が不明である場合
- 主たる生計維持者が業務を廃止し、又は休止した旨
- 主たる生計維持者が失職し、現在収入がない旨
家屋が被災してしまった方や、一般的には世帯主の方が被災した影響を受けている方が対象になるということになります。
被災証明書等の証明は求められることなく、被災した申し出があれば条件2を満たすことになります。
どのような取扱いになるの?
上記の条件1と2を満たした患者については、一部負担金等の支払いを受けることを猶予することができます。
つまり、窓口での支払いをしなくても良い、ということになります。
ただし、あくまでも期間限定の措置である点は注意しなくてはなりません。
対象となる診療は?
「令和6年4月末までの診療、調剤及び訪問看護」が対象となります(取扱いの期間は、今後の状況によって延長する可能性あり)。
なお、医療費が対象となっておりますが、通知の中では「入院時食事療養費及び入院時生活療養費(保険外併用療養費及び家族療養費に係る食事療養及び生活療養に係るものを含む。)については、標準負担額の支払いを受ける必要がある。」と記載があるとおり、食事の費用等については保険診療時と同額を窓口で請求します。
診療報酬明細書はどうするの?
患者からお金をもらわないなら、レセプトの記載はどうすれば良いの?と疑問に思いますよね。
今回まとめている事務連絡に基づいて一部負担金等の支払いを猶予した場合は、患者負担分を含めて 10 割を審査支払機関等へ請求します。
具体的な請求方法等については別途通知を参考にすることとされています。
参考通知:暴風雪被害に係る診療報酬等の請求の取扱いについて(本通知のP3~6に該当)
まとめ
被災者が受診した際は普段と異なる対応となります。
窓口ではしっかりと案内できるよう、担当者間でも情報共有をしておきましょう!
医療事務でも接遇面では、患者サービスに貢献できますよ!
参考:厚労省ページ