資格は不要?「褥瘡管理者」になるには

褥瘡管理者になるには
褥瘡管理者になるには

A236 褥瘡ハイリスクケア加算(500点、入院中に1回限り算定可)では、「保険医療機関内に専従で褥瘡管理者を配置すること」が施設基準の1つとして定められています。

さらに、褥瘡管理者は専従としての配置が必要であり、それは褥瘡管理者としての業務を、目安として業務全体の8割以上行うことを意味します。

かげの医事課長

では、褥瘡管理者になるにはどうすれば良いでしょうか?

本記事では施設基準や診療報酬において規定されている内容を整理し、褥瘡管理者になるための情報をまとめます。

※本記事は令和6年診療報酬改定の情報に基づいて作成しています。

褥瘡管理者になるには?

褥瘡ハイリスクケア加算の施設基準においては、褥瘡管理者になるには要件が定められています。

褥瘡管理者は、

褥瘡ハイリスク患者のケアに従事した経験が5年以上ある看護師等であり、褥瘡等の創傷ケアに係る適切な研修を修了した者

とされており、実務経験と研修修了の2つの要件を満たさなければなりません。

褥瘡管理者としての資格試験などはないため、院内の取り決めで任命を受ければ褥瘡管理者になることができます。

なお、ここでの褥瘡等の創傷ケアに係る適切な研修とは、下記の内容を含むものとされています。

この研修には具体的にはどんなものが該当するのか気になるところですが、厚労省から下記の例示がでています。

① 日本看護協会の認定看護師教育課程「皮膚・排泄ケア」
② 特定行為に係る看護師の研修制度により厚生労働大臣が指定する指定研修機関において行われる「創傷管理関連」の区分の研修

~令和4年3月31日疑義解釈資料の送付について(その1)より~

上記のどちらかを受ければ、研修に係る要件を満たすことができます。

要件を満たせるのは貴重な人材がいるということ

研修修了だけでなく実務経験が5年以上必要な点では、褥瘡ハイリスクケア加算の基準はハードルが高いといえるでしょう。

加算が創設された当初の調査(平成19年度調査)では、病床規模が大きい病院ほど届出を出しており、1施設あたりの専従の褥瘡管理者の人数は平均1.1人という結果があったようです。

(参考:中央社会保険医療協議会 診療報酬改定結果検証部会(第18回)資料(検-1-6))

https://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/07/dl/s0709-7f.pdf

施設基準を満たす上では褥瘡管理者は1人いれば問題ありませんが、院内の体制としては1人にかかる業務負荷や担当者の休職・退職などの可能性を考えると、2人以上の配置(すくなくともサポートできる副担当)が望ましいと考えます。

褥瘡管理者が長期で不在になる場合はどうなるの?

冒頭にもふれたように、褥瘡管理者の配置は褥瘡ハイリスクケア加算の施設基準の要件となっています。

もし、褥瘡管理者が自院に1人しかいない場合、休暇や療養、研修などによる長期不在時は加算の算定ができるのか、施設基準の届出を辞退する必要があるかは気になるところですよね。

 

結論からいうと、正式な回答としては厚生局への問い合わせが必要です。

 

しかし、以前厚生局への問い合わせた時の回答内容を参考としてお伝えします。

専従の管理者が不在の場合は算定はできない。もし、月をまたいで不在になる場合は届出の辞退を行い、基準を満たしてから再度届出を行う必要がある」とのことです。

例えば、4月5日~4月の30日が不在で5月1日より復帰となる場合、4月5日~4月30日の算定はできないが、届出の辞退は不要で5月1日~算定が可能。4月5日~5月10日が不在で5月11日より復帰となる場合、4月5日~算定ができなくなり、4月に届出の辞退が必要。5月に再度施設基準を満たしたものとして新規届出を行い、6月1日~算定開始ができるようになる。

 

このような感じで対応する必要があるようです。

 

不在時は算定不可となると、褥瘡管理者が有休や日曜などで出勤していない日は全日算定できないと解釈するようですので、診療費の算定には気をつけなければいけません。

日頃から看護部と医事課が連携しつつ、適切な請求をするために院内の運営も適宜見直しを行いましょう。

施設基準の届出や辞退等の管理は事務(医事課や総務課)が行う病院が多いと思いますが、看護師の勤務シフトを医事課と共有しないと算定してはいけない日に算定してしまうということにもつながりかねません。

まとめ

褥瘡管理者になるには認定資格は必要なく、実務経験と研修への参加が必要だということをみてきました。

1施設当たりの専従褥瘡管理者は平均1.1人という調査結果をみると、どの施設も褥瘡管理者の育成は苦慮しているのかもしれません。

しかし、働き方改革やライフワークバランスという観点に加え、高齢者の入院が増えると見込まれることや算定の要件を満たして診療報酬につなげるという点からも、褥瘡管理者の育成は今後重要になると思います。

長期的な視点で人材育成をし、安定した医療提供体制で病院運営を行いましょう。

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