令和6年能登半島地震により被災された方々に、心からお見舞い申し上げます。
記事の執筆時点でも連日のように被害状況について報道されていますが、被災された方の中には医療を必要とする方も当然います。
保険証や負担割合証を紛失、あるいは自宅に置いたまま避難をしていることも考えられる中で、
・ケガをしたら治療を受けたい
・いつも飲んでいる薬がなくなりそうだから処方してほしい
・体調不良のため診察を受けたい
みなさんの病院にも、被災された方が受診するケースもあると思います。
保険給付資格の確認ができない場合、通常であれば医療費の全額を支払い(いわゆる自費)してもらいますよね。
しかし、被災された方の状況を考えると、医療費の全額支払いは相当な負担となります。
事情が事情だし、でも資格の確認ができないとダメだし、、、なんて窓口対応では悩んでしまいそうですよね。
被災者の方が受診をした際は、どのような対応をすれば良いのでしょうか?
そこで、能登半島地震の発生に伴い被災者が受診した際の取扱いについて、厚労省から事務連絡が通知されていたので、まとめてみました。
避難先で受診する患者もいらっしゃると思いますので、北陸地域の病院以外の皆さんも知っておいた方が良いと思われます。
いっしょに確認していきましょう!
保険証の提示がなくても保険診療扱いにできる
結論から言えば、保険診療扱いにすることができます。
というのも、厚労省がその旨の通知を出したからです。
通知:令和6年能登半島地震にかかる災害の被災者に係る被保険者証等の提示等について
被災によって保険証や負担割合証を失くしたり、家に置いたまま避難しているケースを考慮しての対応のようです。
患者にとっては通常通り一部負担金の支払いで済みますし、医療機関にとっても未収金が増えるリスクを避けられます。
保険証がないことを理由に医療費の支払いを全額負担することになれば、経済的負担から受診控えにもつながってしまうことも考えられます。
そうなると、被災者の医療を受ける権利を守ろう、という考えも見え隠れしているような気がしますね。
保険診療をするためには条件がある
上記の場合は特例的な扱いで保険診療になるわけですが、そのためにはいくつかの項目について、患者に確認しなければいけません。
それは、以下についてです。
患者全員に確認する必要があるもの
- 氏名
- 生年月日
- 連絡先(電話番号等)
診察券の確認ができれば院内で登録されている情報を確認すればOK、ということになりますが、避難先で保険証だけ忘れる…というケースは稀かもしれません。
患者情報も一切不明(証明できるものがない)ということになってしまうので、初診のように受付票や問診票を記入をしてもらう対応が良さそうです。
都度、カルテ番号を新規で発行するのではなく、カルテの登録前に受診歴があるかを確認し、カルテ番号が二重登録にならないように注意をしましょう。
条件に当てはまる人にだけ確認する必要があるもの
- 事業所名(被用者保険の被保険者の場合)
- 住所(国民健康保険または後期高齢者医療制度の被保険者の場合)
- 住所と組合名(国民健康保険組合の被保険者の場合)
患者が自身の加入している保険者が分かれば良いのですが、覚えている方は少ないでしょう。
それに「被用者保険に加入してますか?」なんて聞いても、大半の方は???となってしまうと思われます。
窓口では、職業について聞いたり「お勤めされてますか?」「社会保険に加入してますか?」といった確認をしていく必要がありそうです。
保険証がなくても上記項目を申し出れば医療機関を受診できる旨は、患者側にも通知がされているようですが、病院側から患者に確認をした方が受付の流れもスムーズになると思います。
対象となる患者は?
厚労省の事務連絡においては、被災した患者からの申し出があれば良い旨が記載されているだけです。
したがって、患者が被災者であることを口頭で確認できれば、この特例的な保険診療は適用して良いと解釈できます。
まとめ
被災者が病院を受診した際は、保険証の提示有無に関わらず保険診療ができる、とお伝えしてきました。
この対応をいつまで続けて良いのかは記事執筆時点では公表されていません。
今後の状況によっては「●年●月までの対応とする」というように時限的なものになるかもしれませんので、適宜最新情報の確認はしていくようにしましょう。
令和6年1月1日に発生した令和6年能登半島地震により、保険証なしで被災者が受診するケースが各地で起こりうるのではないかと思います。
病院事務は医療行為の提供はできませんが、接遇で患者にサービスを提供することは可能です。
患者のために、地域のために、いっしょに頑張っていきましょう!