最近ニュースでも話題になっているマイナンバーカードの保険証利用ですが、オンライン資格確認のシステムは令和5年7月現在で約80%近くの医療機関(薬局含む)で導入されているようです。
ですが、実際に窓口で患者さんの対応をしていると、オンライン資格確認がうまくいかないパターンもありますよね。
そうなると資格情報が確認できないため、患者さんには医療費の全額10割を請求しなければなりません。患者さんの負担金額が増えるので快く承諾してくれないですし、未収金にもつながってしまいます。
そこで、令和5年7月10日に通知された「マイナンバーカードによるオンライン資格確認を行うことができない場合の対応について」を元に、オンライン資格確認ができなかった場合の対応方法についてまとめてみます。
目次
そもそも、なぜオンライン資格確認ができない理由3つ
オンライン資格確認ができない理由についてはいくつかありますが、
- 保険者や事業所の登録が間に合っていない
- カードリーダーの故障やマイナンバーカードの不具合
- ネットワーク通信障害
などが考えられます。
1つ目は、患者さんが転職をした等で保険者が切り替わる場合です。
オンライン資格確認をしたときに参照するデータベースが更新されていない場合、該当するデータが存在しないことになります。
したがって、「資格(無効)」、「資格情報なし」等が表示されます。これは、患者さんも医療機関でもどうしようもないため、保険者の登録作業が終わるのを待つしかありません。
2つ目は、機器不良やマイナンバーカードに起因するものです。
機械そのものが故障していたり、マイナンバーカードのICチップの破損、利用者証明用電子証明書の有効期限切れ等が該当します。これはメーカーや行政に相談してもらうしかありませんね。
3つ目は、停電や通信障害などが該当します。
これも復旧を待つしかありません。
2つ目と3つ目については、オンライン資格確認システムの「システム障害時モード」で対応するという方法もありますが、今回の基本的な対応からは除いて解説をします。
オンライン資格確認ができない場合の窓口対応【3選】
オンライン資格確認ができない場合、実際に窓口で対応する方法は以下の3つになります。
- マイナポータルの資格画面を提示してもらう
- 健康保険証の原本を提示してもらう
- 被保険者資格申立書を記入してもらう
では、それぞれの対応について少しずつ解説をしてみます。
1.マイナポータルの資格画面を提示してもらう
患者さんが自身のスマホ等でマイナポータルにアクセスし、資格情報を確認できる画面を確認できればそれで資格確認を行ったことにできます。もちろん、医事システム等への登録までは必要なので、目視で確認をしましょう。
2.健康保険証の原本を提示してもらう
こちらは従来の確認方法です。マイナンバーカードとは別に健康保険証の原本を患者さんが持っていれば、目視で確認し、医事システム等へ登録していきます。
3.被保険者資格申立書に記入してもらう
こちらは「被保険者資格申立書」を患者さんに記入をしてもらう対応です。セットとなっている説明書(上記のリンクを参照ください)にもあるように、申立書を書いてもらえれば保険証などで資格確認をした扱いにする旨が記載されています。患者さんには可能な範囲で記入をしてもらうことになりますが、全項目を記入できる方は少ないのではないか…と思います。
【被保険者資格申立書(サンプル)】※厚労省サイトより
なお、再診などで過去の資格情報の登録がある場合、口頭で変更がない旨を患者さんに確認できた場合は、申立書を記入してもらう必要はありません。
ちなみにですが、レセプト(診療報酬明細書)請求時にはこの申立書に記載してもらった情報を摘要欄に記載するので、医療機関側が保管しておく必要があります。
初診の申込書や問診票と一緒に盛り込めると一度に案内できるかもしれませんね。
まとめ
以上、オンライン資格確認ができない場合の窓口対応法3選でした。
- マイナポータルの資格画面を提示してもらう
- 健康保険証の原本を提示してもらう
- 被保険者資格申立書を記入してもらう
情報の紐づけ誤りや健康保険証廃止の見直しを検討する等のニュースを見ると、マイナンバーカード関連では医療機関も国民も振り回されている印象があります。
是非はともかく、スムーズな運用ができる日が一日も早く来てほしいですね。
次回は、続きとなるレセプト請求の手続き編についてまとめてみます。
すぐ読みたい方はコチラ↓