医学管理料として診療報酬がある「B006 退院時リハビリテーション指導料」ですが、具体的にどんな指導をすれば算定できるのだろう、と悩む方は多いのではないでしょうか。
本記事では「退院時リハビリテーション指導料」の算定要件についてまとめます。
- 診療報酬の算定を担当している医療事務または医事課の方
- リハビリ担当をされている医療従事者の方
目次
退院時リハビリテーション指導料とは?
医科点数表から概要をまとめると、
入院していた患者の退院に際し、患者の病状、患家の家屋構造、介護力等を考慮しながら、リハビリテーションの観点から退院後の療養上必要と考えられる指導を行った場合に算定する。
となり、リハビリ目線で退院後の療養に必要なことを指導すると算定ができます。
点数は1回300点の設定がされており、退院日に1回に限り算定します。
算定要件は?
指導を行うと算定ができることは、前述のとおりです。
では、ここからは、より具体的な算定要件について確認していきましょう。
いつ算定できる?
「退院時」という名称からも分かるとおり、退院日に算定ができます。
誰が指導する?
指導を行うのは下記のとおりです。
- 患者の入院中に、主として医学的管理を行った医師
- 患者の入院中に、主としてリハビリテーションを担当した医師
- 医師の指示を受けた、特定の職種
3つ目の「医師の指示を受けた、特定の職種」が指導する場合は、下記のAとBからそれぞれ1職種以上が指導を行う必要があります。
その特定の職種とは下記のAとBに記載した職種です。
A
B
- 理学療法士
- 作業療法士
- 言語聴覚士
- 保健師
- 看護師
- 社会福祉士
- 精神保健福祉士
例えば、
理学療法士と看護師がともに指導した場合→算定要件を満たす
作業療法士のみ指導した場合→算定要件を満たさない
社会福祉士のみ指導した場合→算定要件を満たさない
ということです。
なお、院内の職員が指導することが前提となっているため、他施設に所属する理学療法士と看護師が指導した場合は、算定ができません。
誰に指導する?
指導の対象は「患者又はその家族等退院後患者の看護に当たる者」とされています。
基本的には患者本人に対して指導をするケースが多いと思いますが、退院時のお迎えで家族が来院した場合でも、指導の機会はあるかと思います。
どんな指導をすれば良い?
医科点数表では、指導内容の例として下記の記載があります。
- 退院後の在宅での基本的動作能力
- 応用的動作能力
- 社会的適応能力の回復を図るための訓練
もう少し具体的な指導内容は、下記のとおりです。
- 患者の運動機能
- 日常生活動作能力の維持及び向上を目的として行う体位変換、起座又は離床訓練、起立訓練、食事訓練、排泄訓練、生活適応訓練、基本的対人関係訓練、患者の介助方法等
家屋の適切な改造、患者の居住地域において利用可能な在宅保健福祉サービスに関する情報提供も指導内容に含まれます。
診療録に必要な記録は?
指導(又は指示)内容の要点を診療録等に記載する必要があります。
医師が特定の職種に指導をするように指示した場合も、その旨を記載する必要があるので注意です。
指導をしても算定できないケース
実際に指導をしても、指導料の算定ができないケースがあります。
それは、下記の2つのケースです。
- 死亡退院の場合
- 区分番号B005に掲げる退院時共同指導料2を算定した場合※(注1の規定により、入院中の保険医療機関の理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が指導等を行った場合に限る。)
- 入院期間が通算される再入院をした場合(第1章第2部通則5の規定による)
- 他医療機関へ転医した場合
①については、指導料の評価自体が「患者の退院後の療養指導」なので、死亡退院の場合はできない、という考え方になると思います。
②については、退院時共同指導料2の指導に同様の内容(退院後の在宅での療養上必要な説明及び指導)があることに加え、こちらの方が退院時リハビリテーション指導料よりも高いために算定ができないと考えられます。
③については、1入院につき1回に限り算定できるという通則から算定できないという考え方になると思われます。
④については、転医の場合は在宅での療養とはならないこと、転院先から在宅に向けて退院する際にまた患者の状態が変わっている可能性があることから算定ができないと思われます。
まとめ
ここまで「退院時リハビリテーション指導料」の算定要件についてまとめてみました。
医師またはその指示を受けた医療従事者が、
患者または家族等に
退院後の療養指導を行う
ことに300点の診療報酬が算定できるということになります。
必ずしも骨折など外傷系でなくても算定はできますので、算定漏れがないようにしましょう!