レセプトの返戻・査定通知が届いたら?再請求・再審査請求の基本フロー

返戻・査定通知が届いたら
返戻・査定通知が届いたら

返戻や査定の通知が届いたとき、「まず何を確認すればいい?」「再請求と再審査請求はどう違う?」と迷うことはありませんか。

返戻や査定の通知は、どちらも請求後に届きますが、確認する内容とその後の対応が異なります。最初に通知の種類と、通知を発行した機関を確認すると、次に何をすればよいかが見えやすくなります。この記事では、通知が届いてから対応を終えるまでの基本的な流れを、順を追って解説します。

レセプトを審査する機関には、支払基金と国保連があります。両者に共通する内容は「審査支払機関」、取扱いが異なる部分は「支払基金」「国保連」と分けて説明します。

結論:通知の種類を確認してから次に行う手続を選ぶ

通知が届いたら、まず返戻と査定のどちらに当たるかを確認します。

  • 返戻:返戻理由と元の請求を確認し、必要な対応をした上で、基本的に再請求します。
  • 査定:査定理由と診療内容を確認し、審査結果に異議がある場合は再審査請求を検討します。

次に、通知を発行した機関が支払基金と国保連のどちらか、オンラインと紙のどちらで処理するかを確認します。請求後に届いた通知をすべて同じように扱わず、通知の種類に合わせて手続を選ぶことが大切です。

返戻と査定、その後の対応の違い

返戻は、点検・審査などの結果、内容確認のためにレセプトが医療機関へ返されることです。査定は、請求内容や点数などが審査結果として補正・減点された状態です。

返戻

  • 意味:請求内容を確認するため、レセプトが医療機関へ戻されている状態です。
  • 最初に見るところ:返戻内訳書などに記載された返戻理由と元の請求内容を確認します。
  • 次の対応:必要な確認や修正を行い、基本的に再請求します。

査定

  • 意味:請求内容や点数が、審査によって補正・減点されている状態です。
  • 最初に見るところ:増減点連絡書などで、査定理由、元の請求内容、査定後の内容を確認します。
  • 次の対応:審査結果に疑義がある場合は、再審査請求を検討します。

返戻後に行うのが再請求、査定結果に疑義がある場合に検討するのが再審査請求です。この2つは同じ手続ではありません。返戻されたのか、査定結果が通知されたのかを最初に分けると、次の行動を選びやすくなります。

査定・返戻につながる具体例は、酸素吸入を算定できないケースとは?査定・返戻対策のまとめでも紹介しています。

通知が届いてからの確認順

  1. 通知・返戻データを受け取る
  2. 通知の種類と、発行した機関を確認する
    • 返戻の場合
      • 返戻理由と元の請求を確認する
      • 必要な対応を行う
      • 基本的に再請求する
    • 査定の場合
      • 査定理由と査定後内容を確認する
      • 元の請求・診療内容と照合する
      • 必要な場合に再審査請求を検討する
  3. オンライン・紙の別、提出先、期限を確認する
  4. 処理後の結果を確認する

大切なのは、通知の種類を確認してから、理由と元の請求内容を照合することです。返戻後は基本的に再請求へ進み、査定では受入れまたは再審査請求を検討します。

通知を受け取った直後の確認チェックリスト

通知を受け取った直後は、次の項目を確認します。通知書や返戻データを手元に置き、一つずつ確認すると見落としを防ぎやすくなります。

  • 通知が返戻か査定かを確認した
  • 通知を発行した機関が支払基金か国保連かを確認した
  • 対象レセプト、患者、診療年月を特定した
  • 返戻理由または査定理由を確認した
  • 元の請求内容、診療録などと照合した
  • オンライン処理か紙処理か、添付資料があるかを確認した
  • 提出先、提出方法、期限を支払基金または国保連の案内で確認した

資格情報に関係するレセプト請求は、被保険者資格申立書を書いてもらった時のレセプト請求はどうすればいい?もあわせて確認できます。

返戻された場合の基本的な処理

返戻されたレセプトは、返戻理由を確認し、必要な修正や確認を行ったうえで、基本的に再請求します。オンライン返戻再請求の代表的な流れは次のとおりです。

  1. 返戻データ・通知を確認する
    • 返戻内訳書などから、対象レセプトと返戻事由を確認します。
  2. レセコンなどへ取り込む
    • オンラインで取得した返戻ファイルを、使用しているレセコンなどへ取り込みます。
  3. 返戻事由と元の請求を照合する
    • 元の請求内容、診療録など、判断に必要な記録を確認します。
  4. 必要な対応を行う
    • 返戻事由に応じて、確認や修正などの対応を行います。返戻されたら、必ず内容を書き換えるという意味ではありません。
  5. 再請求データを作成する
    • 使用しているシステムの手順に沿って再請求データを作成します。
  6. 内容を確認して送信する
    • 対象月、提出先、対応内容などを確認して送信します。

レセコンへの取込みやデータ作成の操作は製品によって異なります。使用しているレセコンの操作手順も確認しておきましょう。オンラインでの詳しい流れや返戻ファイルの扱いは、支払基金の「オンラインによる返戻再請求のご案内」でも確認できます。

紙で返戻された場合は、通知を発行した支払基金または国保連の案内や、現行の記載要領に沿って修正します。

査定された場合の基本的な処理

査定通知が届いたら、まず査定理由と査定後の内容を確認します。そのうえで、元の請求内容や診療録と照合し、必要に応じて医師や院内の関係担当者にも確認しましょう。

審査結果に疑義がある場合は、診療録などの根拠を確認し、再審査請求を行うか検討します。査定前の内容を新しい一次請求として出し直さず、再審査請求の手続に沿って進めます。

病名の追記、摘要、詳記だけで再審査が認められるとは限りません。「病名を追加すれば認められる」「病名追記は認められない」と決めつけず、査定理由、診療時点の事実、診療録を確認したうえで判断しましょう。

取下げは別の手続です

なお、取下げは、返戻・査定通知を受けた後の基本的な対応ではありません。請求後に医療機関側で資格変更や請求内容の誤りに気づき、審査支払機関からレセプトを戻してもらうための手続です。戻った後も請求を続ける場合は、必要な対応を行って再請求します。査定内容そのものに異議がある場合は、再審査請求を検討しましょう。取下げの手続の詳細は、支払基金の「再審査請求(取下げ)の方法」でも確認できます。

オンライン処理と紙処理は例外を含めて確認する

オンライン請求を行っている医療機関では、返戻再請求も原則としてオンラインで行います。返戻ファイルを取得して内容を確認し、必要な対応を行った後、再請求データを送信します。再審査申出もオンラインで行う仕組みがあります。

ただし、紙で審査されたものや、紙でしか返戻されないレセプトは、オンラインで取得できません。再審査請求をオンラインで提出できない場合は、紙の依頼書を提出します。提出方法や提出先は、支払基金または該当する国保連の案内を確認しましょう。

紙の再審査請求の依頼書と、紙で返戻されたレセプトは別のものです。処理方法を選ぶときは、元の請求方法、返戻された媒体、添付資料の有無を確認し、支払基金または該当する国保連の案内に沿って進めると安心です。郵送する場合の案内が設けられていることもありますが、窓口へ持参できるか、どこで受け付けるかは、提出先ごとに確認します。

支払基金と国保連では確認する案内が異なる

支払基金と国保連では、通知書の名称や提出先、受付方法が異なります。再審査等請求ファイル作成ツールを使う場合も、支払基金・国保連の選択と、入力時に参照する通知書を確認します。

国保連では、地域、公費、対象月などによって提出方法や送信できる期間が異なる場合があります。通知を発行した国保連を確かめ、その国保連の最新案内も確認しておきましょう。

「期限」を一括りにしない

「いつまでに対応すればよいか」を考えるときは、月次請求、再審査申出、請求権の時効を分けて確認します。

  • 月次の請求期限:通常のオンライン請求期日は毎月10日と案内されています。システム障害時などの例外は、支払基金または該当する国保連の最新案内を確認します。
  • 再審査申出の案内上の目安:再審査申出は、できる限り早く行います。支払基金は原則6か月以内に申し出るよう案内していますが、法的な絶対期限ではありません。詳しい案内は、支払基金の「審査に関するQ&A」で確認できます。国保連分は、該当する国保連の案内も確認しておきましょう。
  • 診療報酬請求権の時効:支払基金は、2020年3月診療分以前は3年、2020年4月診療分以降は原則5年と案内しています。起算日は診療月の翌月1日です。詳しくは、支払基金の「診療報酬の請求・支払に関するQ&A」も確認しておきましょう。時効は、対応を先延ばしにしてよい期間ではありません。

返戻・査定通知が届いたら、できる限り早く内容を確認し、必要な対応を進めましょう。

処理漏れを防ぐための院内管理項目

返戻や査定は、提出した時点で終わりではありません。結果の確認や患者対応まで追えるように、次の項目を記録しておくと、処理漏れや引継ぎ漏れを防ぎやすくなります。院内の規程や使用システムに合わせて、必要な項目を選びます。

  • 対象レセプト:患者氏名、カルテ番号等、診療年月、入院・外来、通知を発行した支払基金・国保連
  • 通知・理由:返戻・査定等の通知区分、返戻理由・査定理由、確認先、対応内容
  • 手続と進捗:再請求日または再審査請求日、処理状況(未対応/再請求済・再審査請求済/結果待ち/完了)、結果確認日
  • 患者自己負担:影響(なし/あり/確認中)、変更前の自己負担額、変更後の自己負担額、差額
  • 患者案内:不要/未実施/実施済み、患者案内日
  • 金銭調整:不要/返金待ち/返金済み/追加徴収待ち/追加徴収済み、金額調整日
  • 完了:一連の確認と対応が終わった案件完了日

患者氏名やカルテ番号等は個人情報です。管理するときは、院内のアクセス権限・保管ルールに沿って取り扱いましょう。

返戻再請求・再審査請求のどちらでも、レセプト内容や点数が変わった場合は、患者の自己負担額への影響を確認します。必要に応じて会計を再計算し、患者への案内、返金または追加徴収まで対応状況を管理します。

査定によって医療費が減額された場合、保険者から患者へ自己負担額の変更に関する通知が届くことがあります。通知を受け取った患者から、自己負担額や精算について医療機関へ問い合わせが入る可能性があるため、査定後は患者負担への影響も確認しておきましょう。地域での通知例は、大阪市の減額査定通知の案内で確認できます。

公費、高額療養費、負担割合、未収の状況によっては、点数が変わっても患者が実際に支払う金額は変わらないことがあります。実際に自己負担額を変更するか、返金や追加徴収を行うかは、査定内容や再審査請求の状況などを確認したうえで、院内ルールに沿って対応しましょう。

判断できないときの確認先

判断に迷ったときは、支払基金・国保連と院内担当者のどちらに確認する内容かを分けると、相談しやすくなります。

支払基金・国保連への問い合わせ

まずは、返戻・査定通知に記載された連絡先を確認しましょう。

支払基金分は、医療機関等照会連絡先(問い合わせ先)検索から、医療機関コードを入力して担当者と連絡先を確認できます。

国保連分は、都道府県別の国保連合会一覧から、該当する国保連のホームページを開き、返戻・査定・再審査に関する窓口を確認しましょう。

院内確認先

  • 院内のレセプト担当者
  • 診療内容を確認できる医師・関係職種
  • 患者会計への影響を確認する担当者

問い合わせるときは、まず担当窓口へ、確認に必要な情報を聞きましょう。通知書と対象レセプトを手元に用意し、診療年月、患者氏名、保険者番号・記号・番号、入院・外来の別、返戻・査定理由など、求められた情報を確認できるようにしておくとスムーズです。

個人情報は、担当窓口から求められた範囲で、院内ルールに沿って取り扱いましょう。カルテ番号は院内管理に使えますが、外部への問い合わせで必ず伝える項目ではありません。

まとめ

返戻・査定通知を受け取ったら、まず通知の種類、発行した機関、理由を確認しましょう。返戻は、返戻理由に対応したうえで基本的に再請求します。査定は、審査結果と診療内容を照合し、受け入れるか、疑義がある場合に再審査請求を検討します。

支払基金と国保連、オンラインと紙、月次請求・再審査申出では、確認する案内や時期が異なります。迷ったときは自己判断で進めず、通知に記載された支払基金または国保連の問い合わせ先へ相談しましょう。

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