入院患者に対して薬剤師が介入すると診療報酬の算定ができる項目があります。
B008 薬剤管理指導料はその中の1つですが、算定要件を理解していないとせっかくの薬剤師の医療サービスも無料提供となってしまいますよね。
本記事では薬剤管理指導料1の算定要件をまとめてみます。
目次
B008 薬剤管理指導料とは?
入院している患者に対して、投薬又は注射及び薬学的管理指導を行った場合に算定ができるものです。
指導料の項目は以下の2種類があり、指導料1の方が点数が高く設定されています。
- 薬剤管理指導料1・・・380点
- 薬剤管理指導料2・・・325点
なお、指導料1・2ともに麻薬の投薬又は注射が行われている患者に対して麻薬の使用に関して必要な薬学的管理指導を行った場合は、1回につき50点の加算(麻薬管理指導加算)の算定ができます。
薬剤管理指導料1の算定要件を確認する
算定対象の患者
医科点数表においては、算定対象となる患者は「厚生労働大臣が定める患者」であり、「特に安全管理が必要な医薬品が投薬又は注射されている患者」と定められています。
患者が小児や精神障害等の場合、必要に応じてその家族に対する指導を行った場合でも算定は可能です。
「特に安全管理が必要な医薬品」とは?
下記の薬剤が挙げられます。
- 抗悪性腫瘍剤
- 免疫抑制剤
- 不整脈用剤
- 抗てんかん剤
- 血液凝固阻止剤(内服薬に限る。)
- ジギタリス製剤
- テオフィリン製剤
- カリウム製剤(注射薬に限る。)
- 精神神経用剤
- 糖尿病用剤
- 膵臓ホルモン剤
- 抗HIV薬
より具体的な対象薬剤の一覧については厚労省のホームページに掲載されています。
参考:診療報酬情報提供サービス
何をすると算定できる?
前述の対象患者に対し、薬剤師が医師の同意を得て薬剤管理指導記録に基づき、直接服薬指導、服薬支援その他の薬学的管理指導を行った場合に算定ができます。
算定のタイミングは?
指導を行った時に算定ができますが、患者1人につき、週1回かつ月4回の算定が限度となっています。
「週に1回」ですが、7日以上の間隔を置く必要はありません。
例えば、下記の6日間の入退院の場合、木曜と月曜にそれぞれ、合計2回算定ができます。
10日(木)・・・入院、薬剤管理指導
11日(金)・・・手術実施
12日(土)・・・経過観察(術後1日目)
13日(日)・・・経過観察(術後2日目)
14日(月)・・・経過観察(術後3日目)、薬剤管理指導
15日(火)・・・退院
算定できない事例はどんなものがあるの?
「B001 23 がん患者指導管理料 ハ 医師又は薬剤師が抗悪性腫瘍剤の投薬又は注射の必要性等について文書により説明を行った場合」の200点を算定した場合、薬剤管理指導料の算定はできません。
レセプト作成をする際の留意点
薬剤管理指導料を算定する際は、レセプトの摘要欄へ下記の記載が必要です。
・薬剤管理指導料の算定日
・指導対象となった薬剤名称
もし対象薬剤が院外で処方された場合、その薬剤が持参薬である等の記載をしましょう。記載がない場合、算定要件である「投薬又は注射されている患者」を満たしているかどうかの判断が難しくなってしまうため、返戻や査定につながる可能性があります。
また、薬剤管理指導料を算定した月は「F500 調剤技術基本料」の算定は不可となるので注意が必要です。
まとめ
ここまで薬剤管理指導1の算定要件をまとめてきました。
本項目を算定するためには施設基準を満たす必要があります。したがって、厚生局へ届出をしないと、薬剤師が指導をしても診療報酬の算定はできませんので注意が必要です。
なお、施設基準を満たして前述の算定要件を満たしてない場合でも、F500 調剤技術基本料の「1」を算定することができます。
医事課の目線では、算定要件を満たしているかを確認して適正・適切な保険請求を行うことも重要ですが、算定要件の知識を活かして院内運用の提案をすることでも貢献することができます。
自院の薬剤師と連携し、積極的な算定につながるように頑張りましょう!
本記事では算定を行う医事課の方を対象に作成しています(薬剤師向けは別の記事を作成します。)。