地域包括ケア病棟で60日超の患者も看護必要度の評価は必要?

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地域包括ケア病棟に入院している患者について、60日を超えたため、地域包括ケア病棟入院料を算定しなくなることがあります。

そんなとき、「61日目からは看護必要度の評価も不要になるのかな?」と迷うことはないでしょうか。

医事課であれば、看護部から同じ質問を受けることもあると思います。

結論からいうと、地域包括ケア病棟入院料を算定しなくなっても、引き続きその届出病棟・病室に入院し、評価の除外対象に該当しない患者は、原則として看護必要度の評価対象になると考えられます。

これは、入院料の算定期間と看護必要度の評価対象についての通知を読み解いた解釈です。本記事では、根拠となる厚生労働省の通知を一緒に確認していきましょう。なお、HCU・ICUに入室した患者で入院基本料を算定する場合も、考え方は共通しています。

地ケア入院料を算定しなくなっても、看護必要度の評価は必要?

医科点数表のA308-3注1・注2では、地域包括ケア病棟入院料・地域包括ケア入院医療管理料を、当該病棟又は病室に入院した日から起算して60日を限度として算定することが定められています。

算定要件に該当しない場合は、一般病棟なら特別入院基本料の例により、療養病棟なら該当する療養病棟入院料の入院料27の例により算定する取扱いがあります。算定については、病床の種類を確かめてから入院料を算定するようにしましょう。

ここで注意したいのは、「入院料を算定できる期間」と「看護必要度を評価する患者の範囲」は、別々に定められているという点です。

令和8年3月5日付の施設基準通知「別添4 第12 地域包括ケア病棟入院料」の1(2)では、評価対象について次のように書かれています。

当該入院料を算定するものとして届け出ている病床又は病室に、直近3月において入院している全ての患者

出典:厚生労働省「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和8年10月7日訂正後)(別添4 第12の1(2))

つまり、ここで注目したいのは「患者が何の入院料を算定しているか」ではなく、「どの病床・病室に入院しているか」です。

少し文章を分けて読むと、分かりやすくなります。

  • 「当該入院料を算定するものとして届け出ている」――これは病床又は病室を説明しています。
  • 「入院している全ての患者」――こちらが評価する患者の範囲を表しています。

通知は「地域包括ケア病棟入院料を算定している患者だけを評価する」とは書いていません。

算定上限の規定とこの評価対象の規定を合わせて読むと、例えば一般病床にある地域包括ケア病棟で、61日目から特別入院基本料の例により算定する場合でも、同じ届出病床・病室への入院が続き、必要度の評価の除外対象に該当しなければ、原則として評価を続けると解釈することができます。算定する入院料が変わっただけで、評価をしない、とは考えない、という整理です。

なお、地域包括ケア病棟では、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅰ又はⅡのうち、A項目(モニタリング・処置等)とC項目(手術等の医学的状況)を毎日評価します。ただし、0時から24時まで終日外泊している日は評価対象となりません。

退院日は0時から退院時までを評価しますが、該当患者割合を算出する際の延べ患者数には含めません。ただし、入院した日に退院(死亡退院を含む)した患者は、延べ患者数に含めます。

参考資料として、平成26年7月10日の厚生労働省疑義解釈(その8)問5も有用です。地域包括ケア入院医療管理料の届出病室に入り、引き続きDPC(診断群分類に基づく1日当たりの包括評価)の点数表で算定する患者について、看護必要度の計算に含めると回答されています。この問5はDPCで算定する患者についての当時の制度における回答であり、地ケアの61日目を直接説明したものではありませんが、算定と必要度の評価を別に考える解釈の例です。なお、令和8年の留意事項通知のA308-3(12)では、地域包括ケア入院医療管理料の病室への転室後、入院日ⅢまでDPCで算定する取扱いを確認できます。現在の評価対象は令和8年度の施設基準通知を基本に考えますが、請求する入院料が違っても、届出場所を基準に評価対象を考えるという点がよく分かります。

HCU・ICUで入院基本料を算定する場合は?

同じような疑問は、ハイケアユニット(HCU)や特定集中治療室(ICU)でも生じます。

例えば、HCUに入院しているものの、HCU入院医療管理料の算定要件を満たさず、入院基本料を算定する患者です。

令和8年度の施設基準通知の別添4第2(ICU)・第3(HCU)も、届出を行っている治療室に入院する患者を評価対象とする規定です。

つまり、ここでも届出場所と除外規定を確認することが出発点です。届出治療室への入院となり、除外対象に該当しない場合は、算定した入院料が異なるだけで一般病棟用の評価票に切り替えるとは解釈しません。

表のB項目は、患者の状況等を評価する項目です。

届出を行っている場所使用する評価票評価する項目
地域包括ケア病棟・病室一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅰ又はⅡA項目・C項目
HCUハイケアユニット用の重症度、医療・看護必要度Ⅰ又はⅡA項目・B項目
ICU特定集中治療室用の重症度、医療・看護必要度ⅡA項目・B項目

※重症度・医療、看護必要度のⅠ・Ⅱの評価方式は、自院の届出に従います。ICUは表のとおりⅡです。HCU・ICUでは、B項目は施設基準の該当患者割合の判定に用いませんが、毎日の評価自体は必要です。上の表は今回扱う3種類の入院料の整理であり、看護必要度が必要な入院料の全一覧ではありません。

ICUについては、当時の具体的な場面に直接答えた、平成26年の厚生労働省の疑義解釈があります。

平成26年7月10日付「疑義解釈資料の送付について(その8)」問1では、ICUの管理料を算定せず、7対1入院基本料を算定する場合について質問されています。

回答では、ICU用の看護必要度で評価し、ICUの該当患者割合の計算にも含めるとされています。

出典:厚生労働省「疑義解釈資料の送付について(その8)」(別添1 問1)

これは平成26年当時の疑義解釈ですが、「実際に算定した入院料」と「届出治療室で用いる看護必要度の評価票」を分けて考える具体例として参考になります。

「全ての患者」でも、除外対象は確認する

ここまで「原則として評価が必要」と説明しましたが、通知には例外も定められています。

地域包括ケア病棟では一般病棟用の評価票で評価しますが、産科患者、15歳未満の小児患者、通知で定められた結核患者等は除外対象です。結核患者は、結核患者収容モデル事業を行う一般病床・精神病床に入院する場合、又は医療法施行規則第10条第5号により感染症病床に入院する場合が規定されています。結核患者なら全員が除外、という意味ではないので注意が必要です。

また、看護必要度Ⅱでは歯科の入院患者も除外されますが、同一入院中に医科の診療も行う期間は、この歯科患者の除外から除かれます。

HCU・ICUについても、短期滞在手術等基本料を算定する患者のほか、基本診療料の施設基準等の別表第二の二十四に該当する患者などが除外されます。別表第二の二十四は、別表第十一の一(短期滞在手術等基本料1)に規定する手術又は検査を行った患者を指します。短期滞在手術等基本料1を実際に算定したかだけで判断せず、表の区分・条件を確認しておきましょう。

別表第十一の一:短期滞在手術等基本料1が算定できる手術又は検査(全40項目)

※表は左右にスクロールできます。

診療報酬の区分番号手術・検査名対象となる区分・条件
D287内分泌負荷試験1 下垂体前葉負荷試験/イ 成長ホルモン(GH)(一連として)
D291-2小児食物アレルギー負荷検査—
K005皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)3 長径4センチメートル以上(6歳未満に限る。)
K006皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)3 長径6センチメートル以上12センチメートル未満(6歳未満に限る。)
K006皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)4 長径12センチメートル以上(6歳未満に限る。)
K008腋臭症手術—
K030四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術7 手軟部腫瘍摘出術
K048骨内異物(挿入物を含む。)除去術10 手根骨骨内異物除去術
K048骨内異物(挿入物を含む。)除去術11 中手骨骨内異物除去術
K068半月板切除術—
K068-2半月板切除術(関節鏡下)—
K070ガングリオン摘出術1 手部ガングリオン摘出術
K093手根管開放手術—
K093-2手根管開放手術(内視鏡下)—
K202涙管チューブ挿入術1 涙道内視鏡を用いるもの
K217眼瞼内反症手術2 皮膚切開法
K219眼瞼下垂症手術1 眼瞼挙筋前転法
K219眼瞼下垂症手術3 その他のもの
K224翼状片手術(弁の移植を要するもの)—
K254治療的角膜切除術1 エキシマレーザーによるもの(角膜ジストロフィー又は帯状角膜変性に係るものに限る。)
K268緑内障手術6 水晶体再建術併用眼内ドレーン挿入術
K282水晶体再建術—
K474乳腺腫瘍摘出術—
K508気管支狭窄拡張術(気管支鏡によるもの)—
K510気管支腫瘍摘出術(気管支鏡又は気管支ファイバースコープによるもの)—
K616-4経皮的シャント拡張術・血栓除去術1 初回(透析シャント閉塞又は高度狭窄の場合)
K616-4経皮的シャント拡張術・血栓除去術1 初回(その他の場合)
K616-4経皮的シャント拡張術・血栓除去術2 1の実施後3月以内に実施する場合
K617下肢静脈瘤手術1 抜去切除術
K617下肢静脈瘤手術2 硬化療法(一連として)
K617下肢静脈瘤手術3 高位結紮術
K617-4下肢静脈瘤血管内焼灼術—
K617-6下肢静脈瘤血管内塞栓術—
K653内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術1 早期悪性腫瘍粘膜切除術
K721内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術1 長径2センチメートル未満
K743痔核手術(脱肛を含む。)2 硬化療法(四段階注射法によるもの)
K747肛門良性腫瘍、肛門ポリープ、肛門尖圭コンジローム切除術肛門ポリープ、肛門尖圭コンジローム切除術に限る。
K823-6尿失禁手術(ボツリヌス毒素によるもの)—
K834-3顕微鏡下精索静脈瘤手術—
K841-2経尿道的レーザー前立腺・蒸散術—

※「—」は、別表第十一の一に区分・条件の限定が記載されていないことを表します。

出典:厚生労働省「基本診療料の施設基準等」(令和8年3月5日厚生労働省告示第70号による改正)別表第二の二十四(PDF312頁)、別表第十一の一(PDF351~355頁)

ここまでの内容を踏まえると、例えば看護部から質問を受けた際には、次の順番で確認すると整理しやすくなります。

  1. 患者は現在、どの届出病棟・病室・治療室に入院しているか。
  2. その場所では、どの看護必要度の評価票を使うか。
  3. 当該患者は、通知にある除外対象に該当しないか。

なお、「その日に評価を行うこと」と「施設基準の該当患者割合の計算に延べ患者数として含めること」は、退室日などで取扱いが異なる場合があります。例えば、HCU・ICUの退室日は評価を行いますが、原則として該当患者割合を算出する際の延べ患者数には含めません。ただし、入院した日に退院(死亡退院を含む)した患者は延べ患者数に含めます。日々の評価と集計方法は、それぞれ最新の評価の手引きも確認しましょう。

看護部から質問されたら、どう答える?

「地域包括ケア病棟入院料を算定しなくなっても、同じ届出病床・病室への入院が続き、通知の評価除外対象に該当しなければ、原則として看護必要度の評価を続けると解釈します。60日は入院料の算定上限で、看護必要度の評価対象を区切る日数ではないためです。通知に定められている評価除外対象かどうかも、一緒に確認しましょうか。」

このように、結論と通知上の理由をセットで伝えると、医事課と看護部で判断を共有しやすくなります。

まとめ|入院料ではなく、届出場所と除外規定で判断する

地域包括ケア病棟で60日を超え、別の入院料を算定することになっても、それだけで看護必要度の評価が不要になるわけではありません。

通知が対象としているのは、原則として届出病床・病室・治療室に入院している患者です。

「算定している患者」ではなく「入院している患者」という通知の表現に着目すると、判断の理由も説明しやすくなります。

まずは自院の届出内容をもとに、届出場所・使用する評価票・患者の評価除外対象の有無を看護部と一緒に確認してみましょう。

医事課と看護部で同じ考え方を共有できれば、「61日目から評価を止めてよいのか」と迷ったときにも、自信を持って確認できると思います。

※実際の算定や施設基準については、最新の告示・通知を確認してください。


参考資料

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